代表の深田さん(眼科医)に「吉田さん、司会ね!」と言われると断れないので、この日も進行係になった。思えば6年前の設立総会では、関口鉄夫先生の感動の記念講演があって、そのときも進行をしたっけなぁ、と感慨深い。で、6年間、しっかりと活動を継続しているネットワーク、この1年を振り返っても、こつこつよくやったなぁ、と思う。代表の深田さんの情熱とそれを支えるツワモノたちのすばらしさに改めて感心する。
フルタイムで働く開業医の深田さんは、仕事のとき以外は全て「徳島の廃棄物問題」で頭がいっぱいのようである。決して豪傑でもなく、「キレル!」というキャリアウーマンの感じでもなく、いつも悩みながら、時には怒り、涙をこらえて、それども真剣に子どもたちの未来を思う優しい女性である。だから廃棄物ネットのメンバーは、みんな彼女が大好きで、「放っておけない」気がして、フルタイムで働く彼女の手となり足となることを厭わないのだ。
彼女がごみの問題に関わるようになったいきさつは、先日発刊された「市民がつくる環境白書〜徳島でごみ問題を考える〜」の第2章に詳しい。この本の目玉であり、圧巻の部分である。(まだ読んでいない人は、買って下さいね!)
ネットワークが関わっている、しらさぎ台の産廃、鳴門の残土処分場や最終処分場、井川や善入寺島のエコシステム・ジャパン社の汚泥、徳島市入田の産廃、などなど、解決への道筋は平坦ではないけれど、スクラムを組んで、粘り強く、運動を続けていくことをこの日改めて誓い合った。
また、県の情報公開条例で、「県人」に限られていた情報公開請求権者を「何人も」に改正させ、来所のみだった公開請求を「FAXやインターネットでも可能」にした実績は大きい。最近では、エコシステムジャパン社関係の情報公開請求文書の非公開事例に対し、村田弁護士が代理人となり異議申立をし、公開すべしという情報公開審査会の答申を得た。
廃棄物処理や不法投棄などでは、その情報が住民の命や健康に関わる問題で公益性がある場合、個人情報や法人の利益を損なうという画一的な理由で非公開にすべきでないということである。私も異議申し立ての場に、立ち合わせていただき、県の審査会がちゃんと機能していることを肌で感じることが出来た。声を上げることで少しずつ変わっていく、結果が出せることは嬉しいことだ。この日も「おかしい非公開には異議申立を致しましょう。」ということになった。
また、7年目の記念講演は、私たちの運動にいつも寄り添い、的確なアドバイスや調査のお手伝い(環境計量士の資格を持つ)をしてくれた、京都大学地球環境学大学院博士課程3年生、望月康平くんの初講演だった。この日の演題は「リサイクルという名の廃棄物処理〜エコ社事件の意味するもの〜」、しっかりまとまっていた。
私たちは、まるで初めてわが子の参観日に行った母親や父親のように、ハラハラしながら、それでも「頼もしいゾ」という思いで聞かせていただいた。彼はいつの頃から(確か修士の1年生くらい?)か、寝ずに長距離を運転し、関口先生といつも一緒に徳島に来てくれていた。聞けばある日「弟子にしてください」と、京都から長野までやってきたそうで、全国のごみ問題の調査について回っていたのだ。
徳島でも二人の名(迷?)コンビはすっかりおなじみとなり、私たちおばさんにとって「望月くんのような若者がいて、日本の未来は明るい!」という希望の星である。大学に閉じこもる研究者でなく、地域で苦しむ住民の傍らに寄り添い、自ら調査し、運動に関わる研究者として、大きく羽ばたいてもらいたいものだ。
この1年間のネットワークの活動は以下のとおり。どれもこれも「○○さん、この日、これこれのことで、どこどこに行けますか?」という深田さんの電話により、時間を作れる者たちが行動をしている結果である。徳島市議のKさんなどは、「忙しいのに、廃棄物ネットの用事が3日に空けずあるゾ。」と大変そうだが嬉しそうだ。私たちは年齢や性別に関係なくお互いに大切な同士であり、私にとってのみんなはとても尊敬できる「人生の宝物」である。
2007年(平成19年) |
9月1日 |
関口鉄夫先生長野より来県
午前中:園瀬川流域環境保全の会で相談会
午後:入田現地調査、夜:相談会 |
2日 |
徳島県廃棄物問題ネットワーク総会及び善入寺島汚泥不法投棄撤去を求める署名活動報告会、関口先生講演「破綻するリサイクルと忍び寄る汚染」 |
5日 |
善入寺島汚泥不法投棄 告発受理 |
10日 |
国交省に情報公開申し入れ |
23日 |
村田弁護士を善入寺島、井川に案内 |
24日 |
園瀬川 告発人の会 |
26日 |
環境白書制作会議、中嶋教室 |
10月15日 |
県が国交省に善入寺島汚泥問題の対処を求める。
要望書を政策官が持って四国地方整備局に行く。 |
17日 |
善入寺島汚泥不法投棄の撤去を求める要望書を持って県交渉
環境白書制作会議、中嶋教室 |
20日 |
吉野川みんなの会でのイベント、善入寺島での吉野川まるあそびで、汚泥不法投棄事件について広報し子供たちが現場見学をしてくれる。 |
24日 |
美馬市里平野のパイロット農場調査 |
28日 |
園瀬川流域環境保全の会 世話人会に出席 |
30日 |
徳島河川国道事務所に話し合いを申し入れ。11月7日に設定 |
11月1日
〜2日 |
関口先生と望月さんに相談するため園瀬川流域環境保全の会の事務局メンバーが長野まで出かける。 |
4日 |
美馬市パイロット農場調査 |
5日 |
園瀬川流域環境保全の会世話人会に出席 |
7日 |
徳島河川国道事務所中村課長、上板出張所の森課長と上板出張所で会い、要望書提出し状況の説明を求める。 |
8日 |
上八万最終処分場公害調停申請、美馬市パイロット農場の現場を県農林と環境整備課、西部県民局に肥料の大量投棄、不法投棄として通報す。 |
13日 |
久次米さんが県庁環境整備課と農林の8日の通報に対しての対応を聞きに行ってくれる。 |
20日 |
要望書に対する回答に変わる文書が届く(環境整備課制作) |
21日 |
ネットワーク世話人会(徳島市市議会くじめさんのところで)
pm4:00:環境白書制作会議、pm6:30:徳島大学 中嶋教室 |
23日 |
美馬市パイロット農場調査 |
27日 |
エコ社と役員を被告発人として県内各地への不法投棄を告発
村田先生が県警へ郵送。 |
28日 |
10月17日の会議録届く、石川弁護士事務所に、エコシステム事件及び井川の水道水源汚染問題についてこれからの対策に村田先生と共に代理人になっていただくことをお願いする。 |
12月12日 |
ネットワーク世話人会 |
20日 |
エコシステムジャパン社不法投棄事件告発について石川弁護士事務所で打ち合わせ |
25日 |
エコ社告発:エコシステムジャパン社を被告発人として藤原農場・井川多美農場・善入寺島・吉野川南岸の各地に不法投棄したとして告発。2008年(平成20年) |
2008年(平成20年) |
1月11日 |
国交省が善入寺島汚泥不法投棄現場占用者に原状回復命令と占用許可取り消し。国交省は2006年7月に撤去要望を、2007年11月には3度にわたり撤去指示を出している。 |
15日 |
エコ社跡地に残された約1,800m3の産業廃棄物である汚泥の適正処理を求める申しいれ書を県に提出(所有者は肥料として畑に入れると言っている) |
18日 |
エコ社破産処理を終え消滅する。 |
2月12日 |
井川多美農場不法投棄事件をエコ社社長と役員の二人に絞って告発。(エコシステムジャパン社が破産している為) |
17日 |
知事に抗議文とエコ社跡地の汚泥の適正処理再申し入れ。 |
18日 |
ネットワーク世話人会 石川弁護士出席 |
21日 |
県に3月中の話し合いを申し入れ |
26日 |
黒石課長から電話連絡:質問状回答を今日発送したが3月中の話し合いは無理だと。年度末であるのと特に農林は今わかめ偽装問題で時間が取れないと。 |
3月6日 |
井川多美農場汚泥不法投棄でエコシステムジャパン社の元社長と専務の二人を告発。 |
11日 |
国交省は原状回復命令の期限10日を過ぎた「11日に現地調査を行い、原状回復していない場合は速やかに行政代執行の準備を進める」としている。 |
18日 |
三好署告発状受理 |
19日 |
情報公開書類を取りに行く:三澤氏と黒石課長に会う。
黒石課長に「話し合い再申し入れ書」を提出する。 |
25日 |
井川多美農場の汚泥不法投棄汚泥の撤去を求める署名活動出発式を井川町野津公民館で行った。石川先生には会に先立って多美農場や井内谷川を見ていただき、夜の集会にも参加していただきました。
善入寺島汚泥不法投棄事件で隣接耕作者が損害賠償で投棄した畑の占用者を提訴。 |
30日 |
鳴門板東・大谷地区処分場ツアー(コープ自然派主催) |
4月1日 |
国交省が畑占用者に戒告書〈 徳島新聞記事:国土交通省四国地方整備局が畑を占有していた男性に行政代執行に基づく戒告書を出していたことがわかった。5月12日までに原状回復するように求めているが、期限までに男性が応じないときは原状回復工事を代執行し、工事費用を男性から徴収する方針。男性の代理人は「河川法に違反していない。占用許可の取り消し処分と原状回復命令の取り消しを求める訴訟を起こす」と話している。〉
記者会見:善入寺島汚泥不法投棄事件で隣接耕作者が損害賠償で提訴。代理人の石川弁護士と支援団体として廃棄物問題ネットワークが記者会見をした。 |
4月3日 |
徳島新聞記事:善入寺島汚泥不法投棄事件で占用者の男性が違反していないと国を提訴。 |
11日 |
園瀬川流域環境保全の会が申し立てしていた公害調停が第1回で打ち切られた。 |
26日 |
廃棄物問題ネットワーク世話人会:石川先生にも参加していただきこれからの運動について相談。 |
29日 |
打ち切られた公害調停報告集会:しらさぎ台集会所にて午後2時〜4時 |
5月2日 |
園瀬川流域環境保全の会が知事に公開質問状を出す。 |
19日 |
国交省に要望書と質問状を送付 |
21日 |
県交渉:エコシステムジャパン汚泥不法投棄事件、善入寺・井川多美農場事件について。ネットワーク:深田、久次米、美浪、吉田、麻、松浦、岡本。県:環境整備課黒石課長、河崎課長補佐(指導担当)富山主査兼係長、農林食料安全推進室芝折室長、田中室長補佐 |
23日 |
情報公開審査会意見陳述:久次米、麻、吉田 |
31日 |
豊島「処分場全国ネットワーク再建総会」に出席 |
6月1日 |
豊島「処分場全国ネットワーク再建総会」に出席 |
2日 |
善入寺島と吉野川右岸の代執行工事が始まる。 |
8日 |
井川で第1回地域ミニ集会「ビデオを見る会」テレビ朝日のビデオをみて意見交換会。ネットワークから深田、岡本、吉田参加 |
9日 |
「代執行現場をともに見る会」の案内を県知事に要望書とともに。環境整備課黒石課長、農林食糧安全推進室芝折室長に参加要請書を持っていく。(久次米、麻、岡本、藤川、八木、松浦) |
15日 |
井川第2回地域ミニ集会 深田、岡本、吉田参加 |
18日 |
「代執行現場をともに見る会」約40人参加、吉野川市市長、市議会議長ほか市議も参加。阿波市は議会開催中で全員協議会が長引き参加できず残念。三好署が多美農場の現場検証をし、重機で掘削。真っ黒い汚泥状のものが出てきました。 |
22日 |
井川第3回地域ミニ集会 深田、久次米、岡本参加 |
25日 |
国交省徳島河川国道事務所中村課長と西内係長から5月18日付要望書と質問状に回答を受ける。 |
29日 |
井川第4回地域ミニ集会 吉田、岡本参加 |
7月5日 |
徳島駅前で井内谷川の水を守る会と徳島県廃棄物問題ネットワークで「井川多美農場の汚泥撤去を求める署名」をお願いする街頭署名活動を行う。ビラ配りとリレートークも。 |
5〜7日 |
望月康平氏来県。エコシステムジャパン社事件について専門誌に投稿するため深田宅に滞在し資料整理。代執行現場もともに見てくれる。 |
6日 |
高井美穂衆議院議員に現場を案内説明する。(望月氏同行) |
13日 |
園瀬川流域環境保全の会総会、活動報告・会計報告
処分場問題全国ネットワーク共同代表の藤原寿和氏の講演
村田弁護士・石川弁護士とともに今後の運動方針を話あう。 |
16日 |
松永氏裁判第2回公判:ネットワーク有志で傍聴 |
25日 |
井川集会 「安全な水を取り戻す運動と公害調停について考える会」、石川弁護士出席、ネットワークから久次米、深田参加 |
26日 |
松永氏の土地の草刈と掘削調査 石川弁護士も参加してくださる。 |
28日 |
19年11月8日付で情報公開審査会に異議申し立てをしていた事例に審査会の答申が出る。 |
8月4日 |
関口先生、望月さん来県午前5時現場集合で善入寺島松永氏土地の現場調査。園瀬川流域環境保全の会が知事に出してあった公開質問状(公開調停が一度で打ち切られたことについて)さんざんやりとりがあった結果文書回答はできない、口頭で回答するということで回答を聞きに行く。 |
5日 |
関口先生、望月さん、久次米さん、麻さん徳島河川国道事務所へ。中村課長と代執行や汚泥投棄事件全般について意見交換 |
5〜6日 |
日本テレビが上八万最終処分場について取材 |
12日 |
徳島県環境整備課黒石課長、農林芝折室長に代執行現場を見ての事実認識につて話し合う会の設定を申し入れる。 |
9月3日 |
環境整備課(黒石課長、河崎課長補佐、富山主査)農林(柴折室長、田中室長補佐)とネットワークの話し合い(深田、久次米、麻、岡本、吉田、丸岡、美浪) |
4日 |
ネットワーク世話人会:井川の署名提出の段取り、公害調停申請の日程等決める。 |