吉田ます子のでんでん日誌 |
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活動日記 2011年5月4日 |
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10月12日 政権交代が成り、鳩山総理は、温室効果ガス削減の中期目標(2020年)をマイナス25%と国内・外に向けて高らかに宣言した。 国民として誇らしく、胸がスッとした出来事だったが、実効性がなくてはいけない。選挙中、自民党のネガティブキャンペーンの柱として、「民主党のマニュフェストどおり25%削減すると一世帯当たりの国民負担は年間36万円」という経産省試算の数字が様々なチラシや広告で言いふらされた。本当にそうなのか?もしそうであるなら、大不況の中で苦しい家計に大打撃になるし、新政権のせっかくの決意も、ブーイング、ということになってしまう。 そこで、日本を代表する地球温暖化問題のシンクタンク「NPO気候ネットワーク」の平田さんに徳島に来てもらって、詳しい話を伝えてもらおう!と思いついた。「地球温暖化を考える市民アクション2009」のコア・メンバーはもちろん大賛成。気候ネットの理事で東京事務所長の平田仁子さんの東京や京都での講演を聴き、名刺交換、メールのやり取りをしたことのある私が、メールで依頼したところ、世界会議や国内講演で超多忙な彼女は「10〜11月は週末いっぱいですが12日の祝日なら空いていますよ。」「MAKE the RULE キャンペーンの地域セミナーとして共催させていただければ、交通費など出せますよ!」とお金のない私たちにとって、本当にありがたい提案までしていただいた。 平田さんと「人間がちゃんと住みつづけられる地球を子どもたちに残していく」という共通の熱い思いでつながっていると信じる私たちは、講演会シーズンの急な企画に運よく空いていたアスティの会議室を「いっぱいにしよう!」と、チームワークを如何なく発揮してチラシをつくり、マスコミを回り、各種団体を回り、前回のセミナー参加者に声をかけ、と考えられるあらゆることを実行した。 全国紙は地方版で、地元紙は2度も予告記事を掲載してくれ、時期を得たテーマだったこともあって会場は補助椅子もいっぱいの参加者で溢れた。他行事も多かった3連休に県・市町村議員もたくさん、行政、市民団体関係者、学生、もちろん一般市民のみなさん、あらゆる方々の参加があり、アンケートの回収率も40%以上、30分の質疑応答も充実したセミナーだったと思う。 どうして25%なのか? はじめに、平田さんは「なぜ25%なのか」数字の根拠を説明してくれた。2000人以上の科学者の参加するIPCC(気候変動政府間パネル)の予測によると2100年の地球の平均気温の上昇は1.1〜6,4℃。基準は産業革命前。現在すでに0,7℃上昇しており、高いほど、水、生態系、食糧、沿岸域、健康に及ぼす悪影響が大きくなり、私たちが生きる基盤を守るための最大の許容温度が、2℃まで。2℃未満に押さえるためには2050年にはマイナス80〜95%、2020年にマイナス25〜40%なのだ。 昨年7月のイタリアのG8サミットで、世界の首脳は
25%削減は、難なく出来るし、過度な国民負担なく出来る! さらに、G8サミットでは
というとても大事なことも合意しているのだった。新政権になったアメリカでは、2050年までの各年の排出が、エネルギー部門、消費者・労働者対策、貿易集約型産業、エネルギー技術、森林伐採回避など11種類の部門別に割り当てられている計画がすでに上院(下院?)を通過しているそうで、オバマ大統領のやる気が伝わってくる。 さて、日本において、気候ネットの提案する25%削減のための対策・手段は
1. はCO2総排出量の50%をも占める大型事業所に、排出枠に上限(キャップ)を設定し、排出枠を割り当てられた参加者間の自由な売買(トレード)を認めるというもの。削減目標に達しないときは、企業はたくさん排出量を減らした企業にお金を出して排出権を買わねばならない。「CO2を減らすこと=企業の金銭的利益」ということになるので、欧州では大きな効果を挙げているらしい。 2. は炭素に価格をつけることで、民主党の政権公約であるガソリンの暫定税率を廃止した分を、炭素税として徴収すれば、消費者の負担はこれまでと同じで、道路をつくる財源でなく、再生可能エネルギーの設置、開発費、公共交通政策などに当てることができるというもの。出来れば、ガソリンの値段をトータルで少しだけ上げて、消費量を抑えてもらいたいものだがこの不況では負担増は厳しいかもしれない。公共交通で代用できる消費者ならば、そちらを安くすることで脱クルマ社会に近づけたいものだ。 3. については、この度、日本でも自然エネルギーの余剰電力買い取り価格が従来の2倍になるのだけれど、ドイツでは3倍、しかも余剰電力に対してではなく発電総量に対して。さらに日本では全ての自然エネルギーにではなく、10kw未満の家庭用の太陽光発電のみに適用。一歩前進とはいえまだまだ設置者有利にはなっていない。 これら3つの目玉政策だけでなく、私たち家庭部門についてもしっかり対策が必要なのはもちろん。その家庭部門の削減の鍵を握るのは、機器や住宅の性能の向上対策。2020年までに買い換えたり、立て替えたりする人は多いだろうから、効果は大きいはず。良質の機器、住宅を大幅に普及させねばならない。太陽熱、バイオマスなどの導入も必要だし、電力供給側の効率向上や燃料の転換も必要、そのあとに、個人の省エネ行動、ライフスタイルの転換も。 平田さんの言葉で最も印象に残ったのは「25%削減は、難なく出来るし、過度な国民負担なく出来る。30%削減でさえ、2020年には可能」ということ。 しかし、その30年後の80%削減となると、やはり相当な選択、相当なあきらめ、相当な決断が必要になるそうだ。私たちはどのような未来を描くのか?
選択に迫られているのは今、あなたはどちらを選びますか?
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