12月2日
代表・一般質問〜ダム審の二の舞にならないために〜
県民ネットの代表質問は豊岡議員、家事、子育て、インテリアコーディネーターそして県議といういくつものわらじを履き、持ち前の体力と精神力で本当に良く頑張っている彼女の力作である。
吉野川の問題は、基本方針が11月に正式決定され、今後20〜30年の個々具体的な計画がこの1年ほどで決まる。今後ふつうなら、国交省が組織した流域委員会などと呼ばれるものの中で、学識経験者や流域首長の意見を聞き、住民の公聴会などを行い決定されるのだが、そういった以前の「ダム審」のようなものでは徳島市の住民投票のような混乱の繰り返しになるだろう。
今、ボタンの掛け違いがないように、とっても大事なときである。整備計画がどのような「組織」で話し合われるかは、今月中に開かれる「国と県との連絡調整会議」で決められるという。
新しい流域委員会のあり方は?
計画段階からの住民参加の好例はないかと、全国の事例を調べてみた。
小さな村の小さな川、まちづくりを行政主導の住民参加で、という例はごまんとあるようだが、大きなダム問題などを抱えた一級河川や大型公共事業では「真の住民参加」の事例はなかなかない。
その中で、希望が持てるのは淀川の流域委員会だ。もともとは国交省近畿地方整備局が、新河川法の下での真住民参加の実現ということで、流域委員会の「あり方」を第3者である4名の委員による「準備会」に託した。そして行政から独立した「淀川流域委員会」が発足したのだ。
以下淀川流域委員会HP抜粋
- 委員会に先立ち、平成12年7月、淀川水系流域委員会準備会議(以下、準備会議)が近畿地方建設局(現近畿地方整備局) によって設置されました。準備会議は、約半年にわたって、流域委員会のあり方(組織構成、委員、情報公開、住民意見の聴取方法など) について審議を行い、平成13年1月に答申を行いました。 委員会は、この答申に基づいて設置されています。なお、答申後、設立会、部会発足会等により委員会設立の周知を図りました。
- 準備会議は、委員選定にあたって、準備会議委員や河川管理者の推薦に加え、一般からの公募を行いました。 また、治水、利水、環境、人文、その他の幅広い分野から委員を選出するとともに、地域の特性に詳しい方々も委員として選出しました。
このような発想の官僚がいてくれるとは、「国破れてコンクリートあり」のこの国の希望ではないか。今議会の吉野川整備に関する県民ネットの質問のポイントは「準備会の設置を国に申し入れてはどうか?」そして基本方針策定時に知事が国に要望した「第十堰を核としたまちづくり」について、何か具体的なものがあるかも質問。
「準備委員会」について知事は「吉野川の流域委員会は、画一的な方法でなく、学識経験者、住民、地方公共団体の長に参加してもらい、公平性・透明性が確保できるように国に要望する。」と、前に質問した共産党議員への答弁を繰り返した。再問したが「準備委員会の設置を要望する」という答えはもらえなかった。準備会を含めて連絡調整会議で国にもの申してくれる、と信じたい。第十を核とした・・・については「単なる利水施設でなく、親水空間としての利用、まちづくりと一体となった環境整備」とちょっと期待できることもいったけれど、可動堰が出来てもまわりに公園を整備すれば「親水空間」として利用できるし、何とも言えないな。
まずは牟岐線の存続が先決だ
鉄道高架事業について、「財政非常事態宣言」発令中の徳島市が、数百億の負担をどこから絞り出せるのか、県としても学校の耐震化さえおぼつかない状況で、本当に必要な事業なのか、とっても疑問。
総務省の人口予測では平成12年から20年間で人口は9〜14%減少。県の予測は6%減となっており見通しが甘い。県南の人口減も加速度を増すだろう。そんな中、牟岐線は鉄道高架どころかその存続すら危ういことは、昨日の答弁で知事も認めている。鉄道高架より、JRに投資するなど存続が先ではないのか?
知事の答弁は「鉄道利用促進に積極的に取り組む。道の駅日和佐を日和佐駅のすぐ隣りに設置したし、阿南駅も整備した。パーク&ライドだってやっているし。」というものだった。知事は、「県都の顔として」本当にコンクリートの高架がいいと思っているのだろうか、それとも選挙対策なのか。もし前者であるならば、知事のセンスを疑わざるを得ないけれど、後者であるなら公共事業伝説への選挙民の執着が悲しいし、もっといい県都の顔を私たちが積極的に提案しなければならないのだろう。
韓国の首都ソウルでは、渋滞は承知で高速道路の高架を撤去し、地下に埋もれていた元の川を復元し市民から高い評価を得ているという。豊岡議員は質問前に自費で韓国へ飛び、市民らに街頭インタビューしてきたのだ。普通、何の事業でも賛否両論あるものだが、インタビューに答えた全員が、「高速道路を撤去し、川を復元してとてもよかった。」と答えたという。
地方都市が今どき鉄道高架なんて時代遅れな政策をやっていたのでは、美しいアジアの国として韓国に先を越されてしまう。
長期計画にやっとウンと言った知事
この日の宮城議員の一般質問で「県は長期ビジョンを持った計画を作るべき」というのがあった。同じ主旨で3月に豊岡さんが代表質問し、「流動的な時代の中で長期計画は困難」との知事答弁、9月議会で私がそのバトンを受けて「宮城100年ビジョン」を紹介した。
以下議事録より
「宮城百年ビジョンでは、環境と資源の問題にどう向き合うかが、百年後、二十一世紀の潮流を変えると述べられています。そして、民主主義理念を制度として地域に根づかせるために、市民力を鍛えること、経済成長率を豊かさの指標としてきた二十世紀的価値観から脱却するため、家族と暮らす時間指数、ゆったり時間指数、地域貢献活動時間指数、緑地指数、バカンス取得指数など、さまざまな幸せ指標を持つことや、物や心を消費する社会から決別し、人と心をはぐくむ社会へと、暮らし方、生き方を変えていく勇気など、夢のあるキーワードを示しています。
徳島に住む人たちが住んでよかったと思われるようにとよく知事はおっしゃいます。一千億円かかる鉄道高架や吉野川の上流域にさらなるダムは必要なのでしょうか。一時的に県政についておられるのではなくて、今後長く徳島県のために働いていただける意思がおありなら、二十年後、三十年後、百年後の徳島のために、大きなビジョンを持って、少なくとも財政展望の十年ぐらいは持ってほしいと強く思います。」
と、せめて10年ほどの財政展望を要望したところで終わっていた。
宮城議員はこの長期計画の質問にピリオドを打つべく、なんと私たちのバトンを受け継いでくれて、知事はやっと「長期ビジョンを持った計画を作る」ことを答弁したのだ。
私たちの質問に直接答えてくれたわけではなかったけれど、思ったことが実現できて、とても満足し、嬉しかった。そして続いて森本議員も「財政中期展望の修正版を出すべき」と私の9月の質問を発展させた主旨の質問をしてくれたのだった。党派を超えても通じるものがあるのだと貴重な出来事だったし、今後の課題や希望が見えてきた出来事だった。
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